VW POLO GTi (1.4L ツインチャージャー)



2010年に発売開始になった3代目ポロ。
スーパーチャージャーとターボチャージャーの2種類の過給機を備えた、ツインチャージャー仕様。

そのカタログスペックは、最高出力179PS/6200rpm、トルク25.5kgm/2000-4500rpm。
過給機モデルとは言え、1.4Lの市販モデルとしてはノーマル数値でも既に相当なものだと言える。

特に低速域での高トルク。 これは見事な加速が期待できるスペックである。

27モータースポーツ流のDMEチューニングで、この1.4Lをどのように料理をしたのか、以下の様に解説したい。

<当社シャシーダイナモテスター測定値>
弊社DMEチューニングデータ(緑)
最大馬力 203.7PS(5702rpm) / 最大トルク 27.1kgm(4328rpm)

ノーマルデータ(赤)
最大馬力175.1PS(5637rpm) / 最大トルク 23.2Kgm(4950rpm)

ノーマルデータに比べ、約28ps UP!


点火時期

中速、低速域をメインに先ずは、見直し。
特に、負圧領域からの点火時期を丹念にチェック。
そこから過給領域までの工程を如何にスムースに立ち上げて行くのか。
大変大事な部分である。 この負圧領域~過給領域の点火時期の見直しは、結果的にブースと掛かりをよりスムースにし、滑らかでありながらも高トルクを実現させる。

燃調

ポイントになるのが、高回転/高負荷時でのA/F。
ややリッチ気味(濃い)為に、パワーの垂れが見られた。
気持ちよく、勢い良く伸びる特性にするために燃調の適正化を入念に行う。

ブースト

やはり、徹底して見直しを掛けたのが、低速域。
この領域の改善は、ドライバーに圧倒的なパワー、あるいは乗りやすさ、また過度なアクセルワークの回避により燃費向上にも繋がる。

また、ツインチャージャーならではの、低速→中速→高速の全体的な繋がるを重視したのは言うまでもない。
スムースで滑らかな加速は、疲れないドライビングを生み出す。

スロットル

ノーマル時でのアクセルワークで、少し疑問に感じたのが、発信時からのゆっくりした加速。
アクセルをグーッとゆっくり踏み込んだ時に、若干のもたつき感が残る。
この部分は、アクセル開度と実スロットルの関連を見直し、よりリニアに再現をした。
ドライバーの感覚とエンジン回転数のバランスはとても大事であり、パワー差ばかりに目が行きやすいDMEチューニングでは案外見逃しされやすい点である。

REVリミット

現行6800回転から、+300回転ほど上げた7100rpmでレブ設定。
スピードも同時に若干引き上げている。

トルク

ノーマルでは、3200回転、3700回転、6100回転の3箇所で谷間が出てしまう。
この谷間は、実際にドライブすると大きな違和間はないものの、実際にシャシーで測定をすれば現れる。
このデーターを踏まえて改めて試走をすると、確かに感じられることが分かる。

トルクを引き上げることばかりではなく、谷間のない繋がりを再現することに大きく時間を使った。
この低即域での高トルクは、今回のデーターチューニングの特筆すべき点であるが、その一方でこの連続するトルクカーブの実現も良くご覧頂きたい。

セッティングの過程では、最大馬力213PSを超えるパターンもあるが、パワー狙いに終始するのではなく、実用的で、燃費も配慮させたパターンを最終的な仕様とした。

総括

VW POLOは、コンパクトでお洒落なタウンユースなイメージがあるものの、ツインチャージャーのGTiモデルに限っては、実に戦闘的なモデルと言える。
2.0Lのゴルフとは大きく排気量も異なるが、事サーキットでのコンペティションでは、ゴルフをテークオーバーする瞬発力を十分に備えている。
その俊足振りが大いに期待できるスポーツモデルである。