PISTON RING

MAHLEでは自社一貫生産に基づき、リングまでもMAHLE製となります。

MAHLEのリング幅は薄い。
ピストン径が82mm以下ではトップリングには1.0mm幅が使われ、それ以上でも1.2mm幅となります。
リング幅が大きいと摩擦面が増えて磨耗損失が大きくなるばかりではなく、フラッタリングや側面のたたかれ磨耗が増します。

リングの持ち上がり現象は、ブローバイの増大、オイル消費にも関連してしまいます。
高性能エンジンでは厚いリングは不向きでなのです。

MAHLEでは、最先端のコンピューターシュミレーションを開発し、リングフリクションの低減とパワー増大を図っています。
また、ウルトラフラットに仕上げられたリングとリング溝はリング幅を薄いものにすることを可能とし、シール性に大きな効果を発揮しています。

1STリング:

1.0mmと1.2mmのスティールにニトリド処理を行い、形状をバレルフェースとしています。バレルフェースは外周の中央を樽型に仕上げたもので、ピストンの首振りを抑え、ガスのシール性や潤滑性にも優れている形状です。

2NDリング:

1.2mmのキャストアイロンを採用し、リバースツイスト(逆ねじれタイプ)としています。
逆ねじれタイプは下面インターナルベベルともいい、リング内側のエッジにより、ねじれが発生し、ストレートフェースもシリンダー壁に対し傾斜して接するためにテーパーリングのような働きをします。
良好なシール性が得られ、特に吸入工程ではリング背面のオイルが上方に吸い上げられるのを防ぎ、オイル消費低減に有効なのです。

オイルリング:

3ピース構造とし、2.8mm幅が採用されています。

オイル消費には幾つかの原因があるが、その一つに次のようなリング現象で発生するとされています。
吸入工程でピストンが下降する際にリングは溝上部に張り付く。その際に下部クリアランスにオイルが溜まります。上昇工程ではリングは溝下部に移動します。このときのリングの移動がポンプ効果となり、オイルを燃焼室側に押し出すのです。

この様な現象をなるべく抑えるには、トップリングの持ち上がり現象を抑える必要があります。
リングの幅を薄くすると、リングの慣性力が下がり、持ち上がり現象が抑えられ、ブローバイ量も少なくなります。
また、セカンドランド(1STリングと2NDリングの間)にはグルービングを設けて、この区間の容積を大きくする工夫がされています。
圧縮工程で1STリングを吹き抜けた圧力が2NDリングでとまりセカンドランド内の圧力は大きくなる。このままの状態でピストンが爆発工程になったときに、1STリングが爆発圧力とセカンドランドの残留圧力を上下で受けることなるのです。これを高速回転で繰り返すことでバタバタと暴れるフラッタリングが起こります。
MAHLEではセカンドランドにグルービングを設け、容積を大きく取り、ガスダンパー(アキュムレーター)の役目をさせて、フラッタリングの防止をしています。

2NDリング下部のサードランドが少し引っ込んでいる形状が分かります。
オイルを掻き落す役目はオイルリングだけではなく、2NDリングにもその役割があります。
2NDリングで掻き落されたオイルがリターンしやすい様にサードランドの外周は僅かに小さな外径となっています。
掻き落されたオイルはオイルリターンホールを通り、返されます。

オイルリング溝には2種類のホールがあり、リターンホールとピン潤滑用のホールになっています。

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