PISTON PIN

ピストンの軽量化は、ピストン設計における大事な要素でありながら、ピンについてのコメントは他メーカーからは以外に少ないものです。
ピンも大変大切なアイテムです。
MAHLEのピンは先ず短いことが特色です。

専用の洗練された鍛造型から作り出されるピストンはスリムな形状を成し、ピンボス周りはコンパクトであり、結果的にピンも短いものが適用されます。

全てのピンはターボアプリケーションが前提とされ、フルパワーを掛けても十分応える設計となっています。

ピン表面の処理はわずかに曇る程度(人の手の指紋の様)に仕上げが施され、オイル潤滑と摺動抵抗を抑える効果が得られる工夫がされています。

ピン両端に接するピストン側ボス内径に関しては、フルパワーを前提にして、一部テーパード仕上げされているものもありますが、これはピンに掛かる高負荷を前提にした予めの油膜確保に他なりません。
さらに特筆すべきは、シンプルな形状に見えるラウンドタイプのサークリップです。

MAHLEがF1スタイルと称するサークリップは、形状、線径とも専用にデザインされています。
加えて、ピストンピンの両端は適切な面取り加工が正確に施されます。
フルフロー加工されたピンには強烈なスラスト方向への力が働き、これに対して確実にピン抜けを防止する設計となっています。
上下するピストン応力はそのままピン上下に掛かりやすく、平たいサークリップでは同様に上下にストレスが掛ります。
結果、平坦状のクリップは破損しやすいのです。
また、ピンエンドの面取り加工を理想的に仕上げないと、端面がサークリップを押し出そうとする力が働く場合もあり、トラブルの原因になりかねません。
MAHLEでは先ずピン両端の面取りが正確に行われ、スラスト方向に働く力を面取り部で逆にサークリップを溝内に押し込むような力に変えています。
サークリップも張力を持たせた専用の設計で、ピンスラストに対し持ちこたえます。

確実なピン形状とサークリップまでに渡るMAHLEの拘りは深い。
F1クオリティと言われる技術はこんなところにまで及ぶのです。


直径20mm : 84g
直径21mm : 98g
直径21mm : 118g
直径22mm : 103g
直径22mm : 112g
直径23mm : 124g

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